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米国ではサプリメントは「食品」
日本ではサプリメントは「健康食品」「機能性表示食品」など複数の区分にまたがりますが、 米国では dietary supplement という食品の一区分として明確に位置づけられています。
これは輸出者にとって基本的に良いニュースです。医薬品のような市販前承認は不要で、 手続きの骨格は加工食品と共通だからです。
食品と同じ部分
次の手続きは、加工食品とまったく同じ枠組みで進みます。
| 手続き | 内容 |
|---|---|
| FDA施設登録 | 製造・加工・包装・保管する施設の登録。隔年更新(偶数年10/1〜12/31)も同じ |
| U.S. Agent | 外国施設には指名義務。要件も食品と同じ |
| FSVP | 輸入者による外国供給者の検証。米国企業であることが必要 |
| DUNS番号 | 通関時のUFIとして申告。取得に30営業日以上 |
| Prior Notice | 出荷ごとの事前通知 |
期限の向きが逆な、2つの届出
ここがサプリメント固有の、そして最も間違えやすい部分です。届出が2種類あり、期限の向きが逆です。
| 届出 | 期限 | 対象 |
|---|---|---|
| NDI届出 新規ダイエタリー成分 | 販売開始の75日前まで =事前 | 米国の食品供給において使用実績のない成分を含む製品 |
| 構造・機能表示の届出 | 販売開始から30日以内 =事後 | 構造・機能表示、一般的な健康状態の表示などを付した製品 |
「75日前」と「30日以内」を取り違えると致命的です
NDI届出は販売を始める前に出すものです。売り始めてから気づいても遅く、その時点で販売を止めることになります。
逆に構造・機能表示の届出は販売開始後で構いません。こちらを先に済ませようとして時間を使い、NDIの期限を逃すという順序の間違いが起こり得ます。
NDI届出 — 販売75日前まで
NDI(New Dietary Ingredient/新規ダイエタリー成分)とは、 米国の食品供給において食品として使用された実績がない成分を指します。
該当する成分を含む製品を米国で販売する場合、製造者または流通者は 州際通商に導入する少なくとも75日前までに、FDAへ市販前の安全性に関する届出を提出しなければなりません。
日本のサプリメントで注意が必要なケース
- 日本固有の伝統的な素材 — 日本では食経験が長くても、米国の食品供給における使用実績とは別に判断されます
- 特定の抽出物・濃縮物 — 原料そのものに実績があっても、抽出方法や濃度が異なれば別の成分として扱われることがあります
- 新しい発酵素材・機能性素材 — 近年開発された素材は該当する可能性が高くなります
機能性表示の届出 — 販売開始30日以内
構造・機能表示(structure/function claim)とは、成分が人体の構造や機能にどう作用するかを述べる表示です。 FDAの事前承認は不要ですが、次の条件を満たす必要があります。
- 表示が真実であり、誤解を招かないことの裏付けを保有していること
- 所定の免責文を併記すること(後述)
- 特定の疾病の診断・軽減・治療・治癒・予防を主張しないこと
- 販売開始から30日以内にFDAへ届け出ること
疾病に言及した時点で、サプリメントではなくなります
「血圧を下げる」「関節痛を改善する」「糖尿病の予防に」といった表現は、疾病への言及にあたります。この線を越えると、米国では未承認の医薬品として扱われる可能性があります。
日本の機能性表示食品で使っている文言をそのまま英訳すると、この線を越えることがあります。翻訳の品質が高いほど、かえって踏み込んだ表現になりやすい点に注意が必要です。詳しくは ラベル表示要件 をご覧ください。
Supplement Facts と必須の免責文
栄養成分表示は別書式
加工食品は Nutrition Facts ですが、サプリメントは Supplement Facts という別の書式を使います。 記載する項目も異なり、食品のラベルをそのまま流用することはできません。
免責文は省略できません
構造・機能表示を行う場合、次の趣旨の免責文を表示に併記する必要があります。
This statement has not been evaluated by the Food and Drug Administration.
This product is not intended to diagnose, treat, cure, or prevent any disease.
日本語にすると「この記述はFDAによる評価を受けていません。本製品はいかなる疾病の診断・治療・治癒・予防を意図したものではありません」という内容です。 パッケージのデザイン段階で、この文言を入れる場所を確保しておいてください。後から追加しようとすると、レイアウトの作り直しになります。
配合成分と表示、まとめて確認します
NDI届出が必要な成分が含まれていないか、表示クレームが認められる範囲に収まっているか。Supplement Facts の書式もあわせてレビューします。施設登録・U.S. Agent・FSVPは食品と同じ枠組みでお引き受けします。
無料で規制診断を始めるよくある質問
使えません。日本の機能性表示食品制度は消費者庁への届出であり、米国では何の効力も持ちません。米国で表示を行うには、米国の基準で裏付けを用意し、米国の手続きで届け出る必要があります。日本の届出資料が科学的裏付けの一部として役立つことはありますが、そのまま通用するわけではありません。
難しい判断です。「米国の食品供給において食品として使用された実績があるか」が基準ですが、実績の有無は成分ごと、さらには抽出方法や濃度によっても変わります。日本での食経験の長さは判断根拠になりません。配合成分のリストをもとに個別に確認することをお勧めします。75日前という期限があるため、開発の早い段階での確認が有効です。
別に取る必要はありません。サプリメントは食品として扱われるため、食品施設登録がそのまま適用されます。すでに加工食品で登録済みの施設であれば、取り扱う食品カテゴリの情報を適切に反映すれば足ります。隔年更新のサイクルも食品と同じです。
書けません。サプリメントにFDAの市販前承認制度はありません。むしろ構造・機能表示を行う場合は、「FDAによる評価を受けていない」という免責文を明示することが求められます。「FDA承認」と書くことは、この免責文と正面から矛盾します。詳しくは 「FDA承認」は存在しない をご覧ください。
参考にした一次情報
米国食品医薬品局(FDA)は、施設登録をもって製品を「承認」または「認可」するものではありません。当社はFDAその他の政府機関と提携関係にあるものではありません。