米国のスーパーマーケットの棚に並ぶ、多数の加工食品のパッケージ
米国の小売店の棚。ここに並ぶすべての商品が、米国の表示規則に適合したラベルを備えています。日本語ラベルの英訳では、この基準を満たせません。

なぜ英訳では足りないのか

「日本語のラベルを英語にすればいい」と考えている事業者様は少なくありません。しかし米国の食品表示は、 翻訳では埋まらない構造的な違いを持っています。

栄養成分表示は Nutrition Facts という米国固有の書式が細かく定められており、 枠線、文字サイズ、項目の並び順、数値の丸め方まで規則があります。日本の栄養成分表示を英語に置き換えても、この書式にはなりません。

アレルゲンについても、対象となる品目が日本と米国で異なります。 内容量の単位表記も違います。原材料名も、日本の表示区分をそのまま直訳すると米国で通用する名称にならないことがあります。

つまり必要なのは翻訳ではなく、米国の規則に沿った作り直しです。

9大アレルゲン — 2023年にごまが追加

米国で表示義務のある主要アレルゲン(major food allergens)は、現在9品目です。

アレルゲン追加時期備考
牛乳FALCPA
(2004年)
乳由来の原材料を含む
卵白・卵黄いずれの由来も対象
魚種の具体的な記載が求められます
甲殻類えび、かに等。種類の記載が求められます
木の実(ツリーナッツ)アーモンド、くるみ等。種類の記載が求められます
落花生(ピーナッツ)ピーナッツオイル等の加工品も対象
小麦醤油、麩、小麦でん粉なども該当します
大豆醤油、味噌などを使う日本食品はほぼ該当します
ごま2023年1月1日FASTER Act により9番目の主要アレルゲンとして追加。ごま油、練りごま、ごま由来の原材料も対象

日本食品にとって「ごま」と「大豆」は要注意です

ごまは2021年4月に成立したFASTER Actにより、2023年1月1日から主要アレルゲンとして表示が義務づけられました。ごま油、すりごま、練りごまを使う和風商品は非常に多く、2022年以前に作ったラベルのままでは要件を満たしません。

また大豆は、醤油・味噌・豆腐・きな粉など、日本の加工食品のほぼ全域に関わります。「調味料」としてまとめて記載していると、アレルゲン表示が漏れる原因になります。

原材料表示

米国の原材料表示(Ingredient Statement)の基本ルールは次のとおりです。

日本の表示区分をそのまま訳さないでください。「調味料(アミノ酸等)」「乳化剤」といった日本の一括名表示は、 米国では通用しないことがあります。何が入っているかを成分レベルまで遡って確認し、米国で通用する名称に置き換える必要があります。

Nutrition Facts(栄養成分表示)

Nutrition Facts は、見た目のフォーマットそのものが規則で定められています。 枠、罫線の太さ、文字の大きさ、項目の順序に至るまで指定があり、自由なデザインはできません。

実務で問題になりやすいのは次の点です。

栄養成分の数値そのものを持っていない場合は、分析試験が必要になることがあります。 これは時間と費用がかかる工程なので、早めに着手してください。

内容量の二重表記

内容量(Net Quantity of Contents)は、米国慣用単位とメートル法の両方で表示する必要があります。

日本のラベルは通常「100g」のようにグラムのみですが、米国ではこれに加えてオンス表記が求められます。 表示する位置や文字サイズにも規則があります。

表示クレーム — 最も危険な領域

当社が最も注意していただきたいのがここです。日本の機能性表示食品・特定保健用食品の文言をそのまま英訳するのは、極めて危険です。

米国では、疾病の予防・治療・診断・緩和に言及する表現を食品に付すと、 未承認の医薬品とみなされる可能性があります。日本で適法に使えている表現が、米国では製品そのものの位置づけを変えてしまうのです。

判定表現の例
×「血圧を下げます」「糖尿病の予防に」「関節痛を改善します」など、疾病に言及する表現
×「免疫力を高め、風邪を防ぎます」など、疾病の予防を示唆する表現
身体の構造・機能に関する表現。認められる場合がありますが、裏付けと所定の注意書きが必要になることがあります
「低脂肪」「食物繊維が豊富」などの栄養強調表示。基準値を満たす必要があります

翻訳会社ではなく、規制の観点でのレビューが必要です

この判断は語学力の問題ではありません。「英語として正しいが、規制上は使えない」表現が典型的な落とし穴です。翻訳の品質が高いほど、かえって踏み込んだ表現になってしまうこともあります。

いつレビューすべきか

順番を間違えると、コストが何倍にもなります。

  1. 商品仕様・原材料の確定— この段階でアレルゲンと原材料名を洗い出します
  2. 栄養成分値の確保— 必要なら分析試験を手配します(時間がかかります)
  3. 表示内容のレビューここで実施してください
  4. パッケージデザインの確定
  5. 印刷・製造
デザイン確定前が最も安価です。印刷後に不備が見つかると、パッケージの刷り直しに加え、 すでに製造した在庫の扱いも問題になります。通関で止まってから気づくのが最悪のパターンです。

ラベル・表示レビューを承っています

原材料表示、9大アレルゲン、Nutrition Facts の書式、内容量の二重表記、責任表示、表示クレームの適法性を確認し、修正案までお出しします。日本語の規格書・原材料表示を直接読めることが、英語のみで業務を行う米国のレビュー会社との違いです。

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よくある質問

実務上、日本語パッケージの上に英語表示のシールを貼る対応は行われています。ただし必要な表示項目がすべて満たされ、規則に沿った配置・サイズであることが前提です。元の表示を隠してしまう、剥がれやすい、記載が不足しているといった状態では要件を満たしません。恒常的に輸出するのであれば、米国向けパッケージを作るほうが結果的に安価です。

いいえ。米国ではサプリメントは食品の一区分として規制されますが、栄養成分表示は Nutrition Facts ではなく Supplement Facts という別の書式を使います(詳しくは サプリメントの対米輸出)。また、機能性に関する表現の規制も食品より複雑です。同じ枠組みではあるものの、表示のルールは別と考えてください。

日本と異なり、米国では乳児用調製粉乳などの例外を除き、連邦レベルで一律の期限表示義務は課されていません。ただし日付の書き方が日米で逆である点に注意が必要です(日本は年月日、米国は月日年が一般的)。「03/04/26」が3月4日なのか4月3日なのか判別できない表記は、流通実務で混乱を招きます。月名を英字で記載する方法が確実です。

この種の表現は、日本での使い方をそのまま持ち込むと問題になりやすい領域です。米国では、事実として正確であることに加え、消費者に誤認を与えないことが求められます。「無添加」が何を指すのかが不明確な場合や、そもそも当該カテゴリの製品には通常添加されない成分について「不使用」を強調する場合などは、誤認を招く表示と判断される可能性があります。個別にご確認ください。

本記事は2026年8月13日時点の情報に基づく一般的な解説であり、法的助言ではありません。表示規則は詳細かつ製品ごとに判断が分かれるため、本記事の内容のみで最終判断をなさらないでください。制度は変更される場合があります。実際のお手続きにあたっては、FDAの最新の公表情報をご確認いただくか、当社までお問い合わせください。
米国食品医薬品局(FDA)は、施設登録をもって製品を「承認」または「認可」するものではありません。当社はFDAその他の政府機関と提携関係にあるものではありません。