U.S. Agent とは何か
U.S. Agent とは、FDAと外国の食品施設との間の連絡窓口となる、米国内に所在する個人または法人です。
米国向けに食品を製造・加工・包装・保管する外国施設は、FDAへの施設登録が義務づけられています。そしてその登録にあたり、U.S. Agent の指名が必須とされています。指名がなければ登録は完了せず、隔年の更新手続きも完了しません。
なぜこのような制度になっているかというと、FDAにとって「海外にある施設に確実に連絡を取る手段」が必要だからです。時差、言語、営業時間の違いを越えて規制当局が確実にコンタクトできる窓口を、米国内に置かせるという発想です。
要件:日本の本社では務まらない理由
U.S. Agent の要件は明確です。
米国内に事業所または住所を持ち、物理的に米国に所在している個人、パートナーシップ、法人または団体であること。
ここが日本企業にとっての最初の壁になります。日本の本社住所も、日本にいる輸出担当者も、この要件を満たしません。 製品の品質や書類の完成度とは無関係に、「米国内に所在していること」という一点で、自社だけでは要件を埋められない構造になっています。
また、私書箱のみの住所は認められないと解されており、実質的に連絡が機能する所在が求められます。
実際に行うこと・行わないこと
| 内容 | |
|---|---|
| ○ | FDAからの連絡の受付:問い合わせ、通知、照会を受け取り、施設に取り次ぐ |
| ○ | 照会への対応:施設と連携して回答を作成し、FDAに返す |
| ○ | 査察・情報提供要求時の橋渡し:FDAと施設の間の調整 |
| ○ | 登録情報の維持:変更時の反映、隔年更新の期限管理 |
| × | 製品の安全性を保証すること:U.S. Agent は品質保証の主体ではありません |
| × | 輸入者としての責任を負うこと:これは FSVP Importer の役割です |
| × | 製品を「FDA承認」にすること:食品にFDA承認という制度は存在しません |
整理すると、U.S. Agent はコミュニケーションの役割であり、製品責任の役割ではありません。この線引きが、次に説明する FSVP Importer との決定的な違いになります。
FSVP Importer との違い
実務で最も混同されるのがこの2つです。どちらも「米国内にいることが必要」という点で共通しているため同じものだと思われがちですが、負う責任の重さがまったく異なります。
| 比較項目 | U.S. Agent | FSVP Importer |
|---|---|---|
| 立場 | 連絡窓口 | 輸入者本人 |
| 主な役割 | FDAとの連絡の受付・取次ぎ | 外国供給者が米国の食品安全基準を満たすことの検証 |
| 製品安全への責任 | 負わない | 負う |
| FDAの指摘先 | 施設に取り次ぐ立場 | 輸入者本人に警告書が届く |
| 必要な識別子 | — | DUNS番号(通関時に申告) |
| いつ必要か | 外国施設の登録・更新時 | 米国への輸入時(各明細行ごとに申告) |
つまり、U.S. Agent を確保しただけでは輸入はできません。施設登録の要件は満たせますが、実際に貨物を米国に入れる段階では、別途 FSVP Importer が必要になります。 米国側に買い手がいる場合は通常その買い手が担いますが、買い手が未定の段階や、買い手が責任を引き受けない場合には、この席が空いたままになります。
詳しくは FSVPとは|外国供給者検証プログラムの義務者と、日本企業がつまずく理由 で解説しています。
U.S. Agent の選び方
取引先に頼む場合の注意点
米国のインポーターや商社に U.S. Agent を引き受けてもらうケースは多く、費用がかからないという利点があります。ただし次のリスクがあります。
- 取引が終了すると連絡が取れなくなる— 隔年更新の際に発覚し、更新期間内に代替先を探す羽目になります
- 本業ではないため対応が遅れる— FDAからの照会は期限つきのことがあり、放置は施設側のリスクになります
- 取引関係と規制対応が連動してしまう— 商流の変更が登録の維持に影響します
専門業者に依頼する場合の確認事項
- 実際に米国に所在する法人か— 要件そのものです。所在地を確認してください
- 連絡を受けてから何営業日で取り次ぐか— 応答の体制が実質的な価値です
- 更新期限の管理をしてくれるか— 2年に1度の手続きは自社では忘れがちです
- 日本語で対応できるか— FDAからの照会は英語で届きます
- 「FDA承認」を謳っていないか— 謳っている業者は制度を正しく説明していません
Yorozu LLC はカリフォルニア州の米国法人です
U.S. Agent として実際にその席に座り、FDAからの連絡を受け付けます。日本語・日本時間での対応、および隔年更新の期限管理まで含めて承ります。年額 $450(2年一括 $800)です。
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商品カテゴリを選んで質問に答えるだけで、必要な手続きを必須・条件付き・推奨に分けて洗い出します。所管当局・所要期間・費用の目安つきです。無料でご利用いただけます。
無料で規制診断を始めるよくある質問
はい、各登録施設について U.S. Agent を指名します。複数の工場を登録している場合は、それぞれの登録に対して指名が必要です。同一の U.S. Agent が複数施設を担当することは可能です。
できます。登録情報の変更手続きにより、指名先を変更します。現在の U.S. Agent と連絡が取れない状況でも変更は可能ですが、登録内容の確認に時間がかかることがあるため、更新期間の直前ではなく余裕をもって対応することをお勧めします。
いいえ。U.S. Agent は施設登録の要件であり、輸入そのものの要件ではありません。実際に米国へ食品を入れるには、別途 FSVP Importer と、出荷ごとの Prior Notice(事前通知)が必要です。また、表示(ラベル)が米国の規則に適合していなければ通関で留め置かれます。
米国の業者では年額200ドル前後から500ドル程度が一般的な幅です。安価なサービスは英語のみの対応で、連絡の取次ぎに限定されていることが多くあります。日本語対応の日系コンサルティング会社では、施設登録だけで15万円から30万円という水準もあります。価格差は主に「対応言語」と「どこまでやるか」の差ですので、金額だけでなく業務範囲を確認してください。
参考にした一次情報
米国食品医薬品局(FDA)は、施設登録をもって製品を「承認」または「認可」するものではありません。当社はFDAその他の政府機関と提携関係にあるものではありません。