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食品に「FDA承認」という制度はない
まず前提を確認します。FDAが一般の食品を市販前に審査して承認する制度は、そもそも存在しません。
FDAの食品施設登録は、「この施設が米国向けの食品を扱っています」とFDAのデータベースに届け出る手続きです。 FDAが工場を訪問して品質を確認するわけでも、製品の成分を審査するわけでもありません。オンラインで情報を入力すれば完了します。
| 施設登録(実際にあるもの) | FDA承認(食品には無いもの) | |
|---|---|---|
| 手続きの性質 | 届出 | — |
| FDAによる審査 | なし | — |
| 製品の安全性保証 | しない | — |
| 費用 | 無料 | — |
| 結果 | 登録番号が発行される | — |
医薬品や一部の医療機器には承認・認可の制度がありますが、それは食品とはまったく別の枠組みです。 「FDA」という同じ名前の機関が扱っているために混同されますが、食品に適用されるものではありません。
FDAは登録証明書を発行していない
ここが本記事で最もお伝えしたい点です。
FDAは施設登録の証明書を発行しません
FDAは、食品・医薬品・生物学的製剤・化粧品などを扱う施設について、登録証明書を発行していないと明言しています。登録とは、FDAのデータベースに事業者名が収録されることを意味するにすぎません。
さらにFDAは、施設の登録は、その施設や製品をFDAが承認・クリアランス・認可したことを意味しないと明確に述べています。
それにもかかわらず、代行業者が独自に作成した「FDA Registration Certificate」といった書類が流通しています。 見た目は公的な証明書のようですが、FDAが発行したものではありません。
FDAはこの問題を実際に問題視しており、虚偽・誤解を招く証明書の作成をやめるよう、25の事業者に対して書簡を送付しています。 製造者や販売者が、それを根拠に「FDAに認められた製品」と主張していたためです。
なぜ誤解が広まるのか
この誤解には、いくつもの要因が重なっています。
- 「登録」と「承認」が日本語では近い響きを持つ — registration と approval は英語では明確に別ですが、日本語では混ざりやすい
- 医薬品のFDA承認が有名 — 新薬のFDA承認はニュースになるため、「FDA=承認する機関」という印象が先にある
- 販促として魅力的 — 「FDA承認済み」と書けると売りやすいため、使いたくなる力学が働く
- 業者側が訂正しない — 誤解されたままのほうが仕事を受注しやすいため、あえて説明しない業者がいる
結果として、善意で使ってしまうケースが大半です。騙そうとしたわけではなく、正しい情報を知らされていなかった、という状況が多くあります。
化粧品も同じ — 事前承認はない
化粧品についても構造は同じです。色素添加物を除き、化粧品とその成分はFDAの市販前承認の対象ではありません。 またFDAは、化粧品の表示を事前に承認する権限も持っていません。
したがって、FDAが承認したことを示唆する表示や広告は認められません。これは MoCRA によって施設登録や製品リスティングが義務づけられた後も変わりません。 登録は届出であり、承認ではないという原則は共通しています。
では何と表現すればよいか
事実に即した表現であれば問題ありません。
| 判定 | 表現 |
|---|---|
| ✕ | FDA承認済み/FDA認可/FDA認証 |
| ✕ | FDAが安全性を認めた製品 |
| ✕ | FDAのロゴを商品・広告・ウェブサイトに掲載する |
| ✕ | 「FDA登録証明書」を承認の根拠として示す |
| ○ | FDAへの食品施設登録を完了しています |
| ○ | FDA食品施設登録番号を保有しています |
| ○ | 米国の食品安全規制(FSMA)に対応しています |
FDAのロゴは使用できません
FDAのロゴは政府機関の識別標章であり、民間事業者が商品や広告に使用することは認められていません。「FDAに登録している」という事実があっても、ロゴの使用が許されるわけではありません。
業者を見分けるチェックポイント
代行業者を選ぶ際、次の点を確認してください。1つでも当てはまれば、説明を求めるべきです。
- 「FDA承認を取得します」と説明している — 食品・化粧品にその制度はありません
- 「FDA登録証明書」を成果物として強調している — FDAは証明書を発行しません
- FDAのロゴを自社サイトに掲載している — 認められていません
- 缶詰・レトルトなのに FCE・SID の説明が無い — 施設登録だけでは足りない領域です
- 「FDAへの登録料」を請求している — 施設登録も更新もFDAは手数料を取りません
- DUNS番号の取得を有料で代行すると謳っている — 発行元への申請自体は無料です(作業代行の料金であれば正当です)
逆に言えば、「登録は承認ではありません」と最初に説明する業者は信頼できます。 その説明をすると仕事が取りにくくなるにもかかわらず、あえて伝えているからです。
当社は「できないこと」を先にお伝えします
Yorozu LLC は、施設登録の完了を「登録完了」として正確にご報告します。FDA承認という言葉は使いません。対応できない領域(食肉のUSDA管轄、酒類のTTB管轄など)も、理由とともに明示しています。規制対応において、できないことをできると言わないことが最も重要な信頼の条件だと考えています。
対応範囲を見るよくある質問
気づいた時点で修正してください。パッケージ、ウェブサイト、パンフレット、ECの商品ページなど、表示している場所をすべて洗い出すところから始めます。米国では、消費者に誤認を与える表示は規制の対象となり得ます。意図的でなかったとしても、表示そのものが問題になります。印刷済みのパッケージが残っている場合の扱いを含め、個別にご相談ください。
相手も誤解している可能性が高いので、まず制度を説明してください。相手が本当に必要としているのは「この施設が適法に登録されているか」の確認であることがほとんどです。その場合、登録番号をお伝えすれば足ります。相手はFDAのデータベースで確認できます。「承認の証明書」は存在しないため、出せないのが正しい対応です。
事実に即した表現であれば問題ありません。「FDAへの食品施設登録を完了しています」と書くことは可能です。禁じられているのは、FDAが製品を審査・承認したかのような表現です。登録した事実そのものは、正確に述べる限り伝えて構いません。
まったく別の制度です。医薬品の承認は、臨床試験のデータをFDAが審査し、有効性と安全性を評価したうえで市販を認めるものです。年単位の期間と多額の費用がかかります。食品の施設登録は、オンラインで情報を届け出るだけの無料の手続きであり、比較の対象になりません。「FDA承認」という言葉が持つ重みは医薬品の話であり、それを食品に流用することが誤解の核心です。
参考にした一次情報
米国食品医薬品局(FDA)は、施設登録をもって製品を「承認」または「認可」するものではありません。当社はFDAその他の政府機関と提携関係にあるものではなく、これらの機関がその機能を保証するものでもありません。