MoCRAで何が義務になったのか

MoCRA(Modernization of Cosmetics Regulation Act/化粧品規制近代化法)は、それまで比較的緩やかだった米国の化粧品規制を大きく変えた法律です。 主な義務は次のとおりです。

義務内容誰が行うか
施設登録化粧品を製造・加工する施設をFDAに登録する。2年ごとの更新が必要製造・加工施設
製品リスティング市場に出す各製品を、成分情報とともにFDAに届け出る。更新は年次Responsible Person
安全性の実証製品の安全性を裏付ける記録を保持するResponsible Person
有害事象の報告重篤な健康被害の報告と、記録の保持Responsible Person

新規に市場投入する製品については、市場投入から120日以内にリスティングを行う必要があります。

小規模事業者の免除 — 年間100万ドル未満

ここが日本の化粧品ブランドにとって最も重要な点です。一定規模未満の事業者は、施設登録と製品リスティングが免除されます。

免除の基準

過去3年間の米国における化粧品の年間平均総売上が100万ドル未満であれば、施設登録と製品リスティングの義務が免除されます。

米国市場に参入したばかりの日本のブランドは、この基準を下回ることが多く、免除に該当する可能性が高いと考えられます。

ただし、免除されるのは施設登録と製品リスティングだけです。安全性の実証、有害事象の報告、表示に関する規制などは、規模にかかわらず適用されます。 「小規模だから何もしなくてよい」という意味ではありません。

免除の例外 — アイメイクは対象外

そしてこの免除には例外があります。次のいずれかに該当する製品を製造・加工する施設には、売上規模にかかわらず免除が適用されません。

日本ブランドが該当しやすいのは1つ目と4つ目です

アイライナー、マスカラ、アイシャドウ、アイクリームといった目元用の製品は、1つ目に該当する可能性があります。日本の化粧品で米国市場に出る商品として、決して珍しくないカテゴリです。

また4つ目は、長時間持続を訴求する製品が該当し得ます。「24時間持続」といった訴求をしている製品は、この規定との関係を確認してください。

売上が100万ドル未満でも、これらを扱っていれば登録とリスティングが必要になります。

Responsible Person という重い立場

MoCRAの中心にあるのが Responsible Person(責任者) です。定義は明確で、 製品ラベルに名称が記載される、製造者・包装者・流通者を指します。

つまり「誰を Responsible Person にするか」は自由に選べるものではなく、ラベルに誰の名前を載せるかで決まります。

Responsible Person が負う義務

当社は Responsible Person をお受けしていません

これは製品の安全性そのものに責任を負う立場であり、実質的に製造物責任に近いものです。健康被害が生じた際の報告義務も伴います。

外部の事業者が代行すべき役割ではないと考えているため、当社はお受けしていません。「MoCRA対応は負担が重い」と言われるのは、主にこの Responsible Person の話です。

一方で U.S. Agent は連絡窓口であり、性質がまったく異なります。こちらはお引き受けしています。

更新は「個別サイクル」— 食品との決定的な違い

施設登録の更新について、食品と混同すると期限を逃します。

食品施設登録化粧品施設登録(MoCRA)
更新の周期2年ごと2年ごと
更新の時期全事業者共通
偶数年の10/1〜12/31
事業者ごとに異なる
最初に登録した日が起点
期限の把握カレンダーで分かる自社の登録日を記録していないと分からない

たとえば初回登録がFDAに受理された日が2月20日であれば、その2年後の2月20日が更新期限になります。 「10月から12月に更新するもの」と思い込んでいると、期限を過ぎます。

対策はシンプルです。初回登録が受理された日付を記録し、2年後の日付を管理台帳とカレンダーに登録してください。 食品も扱っている場合は、2つの異なる更新サイクルを並行して管理することになります。

U.S. Agent と Responsible Person の違い

この2つは頻繁に混同されますが、負う責任がまったく異なります。

役割負う責任
U.S. Agent FDAと外国施設の連絡窓口。問い合わせの受付と取り次ぎ。製品の安全性に責任は負わない。当社がお引き受けします
Responsible Person ラベルに名称が載る主体。安全性の実証、有害事象の報告を負う。当社は対象外

化粧品の U.S. Agent をお引き受けします

外国施設の登録には U.S. Agent の指名が必要です。Yorozu LLC はカリフォルニア州の米国法人として、施設登録の代行と U.S. Agent を承ります。更新期限(登録日から2年)の管理も当社で行います。Responsible Person は対象外です。

化粧品(MoCRA)対応の詳細

よくある質問

2段階で確認します。まず売上(米国における化粧品の年間平均総売上が過去3年で100万ドル未満か)、次に製品の種類(目の粘膜に接触する製品などを扱っていないか)です。売上基準を満たしていても、アイメイク製品を扱っていれば免除されません。売上だけを見て判断しないでください。

いいえ。免除されるのは施設登録と製品リスティングのみです。安全性の実証、有害事象の報告、表示に関する規制は引き続き適用されます。また、売上が伸びて基準を超えた場合は義務が発生するため、売上の推移を把握しておく必要があります。

食品と同様、一般の化粧品にFDAの事前承認制度はありません。施設登録も製品リスティングも届出であって、FDAが製品を審査・承認するものではありません。「FDA承認済みの化粧品」といった表示は不適切です。なお、日焼け止めなど一部の製品はOTC医薬品として別の枠組みで規制されるため、区分の確認が必要です。

通用しません。日本の「医薬部外品」に相当する区分は米国にはなく、製品によっては化粧品ではなくOTC医薬品として扱われることがあります。薬用化粧品、日焼け止め、制汗剤などは特に注意が必要です。区分が変われば必要な手続きが根本から変わるため、早い段階でご確認ください。

本記事は2026年8月20日時点の情報に基づく一般的な解説であり、法的助言ではありません。MoCRAは施行後も運用の明確化が続いている領域です。免除の該当性や製品区分の判断は個別性が高いため、本記事の内容のみで最終判断をなさらないでください。実際のお手続きにあたっては、FDAの最新の公表情報をご確認いただくか、当社までお問い合わせください。
米国食品医薬品局(FDA)は、施設登録や製品リスティングをもって製品を「承認」または「認可」するものではありません。当社はFDAその他の政府機関と提携関係にあるものではありません。